めくるめく

ネタバレに配慮していないライブレポなど。

rocks3吉井和哉「みつめあう2人」

※写真集にどれが採用されているか分からないので展示されていた写真の詳細は避けます。

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以前から告知のあったMitch池田さんのrocks3「みつめあう2人」の写真展へ行ってきた。会場は新宿のオリンパスギャラリー。行ったことはなかったが、会場までのアクセスを見るにあまり大きくはない会場なのだろうなあという想像がついた。ロビ担とモンキーファン、吉井和哉ファンが来場することを考えると1週間という会期はあまりに短い。
初日が平日とは言え被写体が被写体でカメラマンはMitchさんだ、混み合うことは想像に難くない。出来るなら落ち着いてじっくり拝見したいので開場に合わせて行って来た。

 

新宿のオリンパスギャラリーは新宿駅西口地下通路(日本生命ビル側)の動く歩道に隣接したエステック情報ビルの一角にある。建物の入口はガラス張りになっていてそこが展示スペースであることが外からでもわかるようになっている。わたしが会場に着いたのは10時56分くらい。既に10名ほどが列を作って待っていた。
中に入ると手前にカメラや雑誌などオリンパス商品の展示がされていて展示場という感じ。その奥に全く別の空間として仕切られたギャラリーがある。今回ギャラリーの入口にはロビンからMitchさんへ宛てたお花が届いていた。赤と黄色の花だけで作られていて、アクセントとして緑の葉が差し込まれている。とても華やか。ギャラリーの中は黒い壁に小さめの照明が灯されていて美術館のような雰囲気。正方形に近い部屋には一部仕切りがあって「C」のような形になってる。
入口の傍からもう展示がされていて写真が所狭しと並んでいる。ロビンの公式twitterでは展示数を「約100点」と言っていたけど、実際は119点が展示されていた。基本は写真集の原寸大と思われるタブロイド版(?)の大きさなのだけど、A0くらいのものからロビンの等身大の大きなものまで様々だった。写真は大きなもの以外は絹目調の写真用紙に印刷されていて一枚ずつパネルに入っている。大きなものはマット紙に印刷したものをボードや厚みのある土台に貼り付け、パネルなしで掲示されていた。パネルに入っている作品には全て左下に「Mitch IKEDA」のエンボス加工がされており、右下には手書きで小さなサインがはいっている。そのうちの1点にA4サイズくらいの「手」の写真があった。明らかにロビンの手ではないのだけど、かと言ってMitchさんの手でもない感じだ。でもその写真にだけMitchさんとロビンのサインが入っていたし、写真の下にはMitchの他、スタッフの方の名前が数名掲示されていたので多分Mitchさんの自己紹介的な一枚だったのだろうな。


入口を入ってすぐの作品を見ていたら後ろから慌てたようにMitchさんが入って来られた。バタつきながらも入場口のスタッフの方にお礼を言いながら「CDかけて!」と声を掛け、その後すぐに吉井和哉のSOUND TRACKが流れ始める。会場を占める空気が全部吉井和哉、ロビンになった。開場した時は10〜15人くらいだった人も、ふと振り返ると30人くらいになっていた。女性も多いが男性もチラホラいる。LIVEならともかく、写真展というビジュアルに特化した会場で思いのほか男性が多いことに驚いた。美しさは性別を超えるなあ。そして作品に関しては本当にどれも素晴らしくて印象的なものばかりだった。どんな写真があったかは伏せるけれども、写真は配色のセンスがとんでもないし、とにもかくにも色が美しい。それに加えてロビンのあの容姿。何をどう見てもとてつもなく美しいよな…あまりに凄くてなんだか実在している人間の写真だというのが信じられない。カメラマンで言うと蜷川実花さんもああいったビビッドで奇抜な配色が美しい写真家さんだけれど、Mitchさんのそれは鮮やかさの中に灰が入って、ザラつきのある色合い、質感を持っているのがたまらない。なので彩度の高い色やハイライトで抜ける色も抜け過ぎず飛びすぎないでしっかりとした質感があるし、影にはより重たく色が乗って深みが増している。コントラストの演出が素晴らしいし、画面の切り取り方も絶妙だ。これは男性ならではの感性かも知れないなあ。蜷川実花さんや清川あさみさんなどはやはりご自身が女性なのと、被写体も女性な事が多いから肌を写す上で灰を置いたような、くすみのある色の出し方はしないものな。だからMitchさんの出す黒はとても独特で影の落とし方がすごく印象的。反射まで考えた光の使い方がすごいし、外での撮影ではとても自然光とは思えない発色をしてる。どうやったらあんな色が出るんだろう…カラーインクのような発色とポスターカラーのような均一な色味とメリハリがある。すごい。本当にすごい。あの大きさで見ると尚のこと圧巻の迫力。絹目調の紙で無駄な光沢を殺してるのも相まって色がとてもしっかり乗っていてとてもよかった。作品としてMitchさんの写真がとても素晴らしくて凄く好きだなと思った。

 

日本カメラやその他「みつめあう2人」が特集された雑誌を買っている方もいらっしゃると思うのだけど、当たり前だが現物と大量印刷される雑誌では写真の発色や色味が全っっっ然違う。制作が進んでいる写真集では作品として残る以上それ相応の紙を使用するだろうし、色校もチェックされているから雑誌ほど色や発色が落ちることはないんじゃないかとは思っている。それでももしあの場で一枚ずつに値段がついていたのなら恐らくわたしは迷わず買ってしまうだろうなあ…部屋に貼りたい作品がたくさんある。展示数が写真集のページ数を超えているけどこれはあれだよな、展示されていたうちの幾つかは収録されないということなんだろうな…うわ〜めちゃくちゃ勿体ない!追加で金を積んでもいいから全部収録してほしいよ…。

 

そうそう、わたしは今回初めてMitchさんご本人を拝見したのだけど、とても気さくでオシャレで素敵な方だった。写真集や先日発売された雑誌を持参したファンからサインを求められると「もちろんいいですよいいですよ〜!」といいながらテキパキと対応されていたし、質問などにも真摯に答えていた。Mitchさんの人柄や雰囲気がとても声を掛けやすい感じなのだよな。そこに紛れ込んでわたしも今回の展示会のDMにサインをしていただいた。ありがたや。
一つびっくりしたのがファンの方がMitchさんご本人に向かって写真を指して「これって合成ですか?」と聞いていた事。なにをどう見たらそう思うのか分からないが、そんなことあるわけがないし、そんな質問アーティストに対してあまりに失礼だ。信じられない。びっくりして思わずわたしが振り返ってしまった。さすがのMitchさんも驚いたのか「いやいやいや!合成じゃないですよ、CGは一切使ってません!」と言っていたけど、そんなもの見れば分かるし作品に対して合成かだなんて心穏やかではなかったはず。言った方に悪意がないところが恐ろしいな…。

 

会場を出た時12時を回っていたのでなんだかんだ1時間以上は見ていたのだな。後半はもう人が多くて自分のペースで見ることが難しく、落ち着いて見れないことが辛くて出て来てしまったのだが、初日とは言え平日の朝一でこれだ。あの広さを思うと休日なんてとんでもないだろうな…。今日行けてよかった。行ってますます手元に届くのが楽しみになったぞ。写真集、大きさには驚いたし未だ保管場所をどうしようか悩んでいるけど買ってよかった。